Kの小説




 映画マニアのKの小説はSFのようだ。感動を生み出したいという動機で書いている。まだできてないから、と恥ずかしがって読ませてくれなかったけれど、みんなにおちょくられるほど間抜けな奴でおもしろい発想をする。口調や文学のトーンはOの小説のようにヘミングウェイで臭いが、内容には個性がある。
 でもどれも未完のままだ。何年経っても完成させることはないだろう。完成させるまで続かないのは、上司に怒られて泣くようないい奴だからだ。その場で消化して溜め込まない。フランスに行っても「楽しかった」で自分から話すネタを用意していない。枯淡な性格をしている。ギターやっても続かず、部屋に小説がたくさん並んでいるがもはやインテリアで、カメラもNIKONのいいものを持っているけど宝物というポジションになっている。何やっても中途半端で飽きっぽい。
 趣味や作品が枯淡の境地に至るには、趣味のよさはもとより野心などが強くなければならない。でも人性の枯淡な人は、欲しいものを手にいれて満足せずとも存在自体から仙人のようだ。その小説は彼の中ではもうできあがっているかのよう。生まれつき天然なKはいつも幸せだろう。