鈴木の小説

『僕は世界の一つの抗生物質になりたい』 という小説

 Sの小説は、ポエジーの基調に基調と思えるものがないいわばそのまんまの文章で、比喩は単純な大袈裟で文学としてつまらないし、ストーリーは曖昧で内容はマジレスだらけで小説として失格だけど、欺瞞などはあまり感じられず、それもそうするのはダサいからというわけではなくはじめっからそんな知能を持ち合わせていないようだ。読ませようとする客観的思考もやわで、彼女取られた経験などいろんなルサンチを原動力に、人間なんてそんなもんさと腐る事なくそれに反発した美しい目標を見据えて、やたらとかっこつけてはいるが、書くというエネルギー任せに能動的に書かれていた。(しかし村上春樹のような口調なので背中が痒かった)
 モチーフからマンネリでセリフはクサいしほんとうにつまらないんだけど、Sはほんとうに馬鹿な奴だなぁ、と思えるいい小説だった。