ぴるるくん
「僕の肉は僕が神様に授けられたおもちゃの一部です。」とぴるるくんは言った。
ぴるるくんは知らぬ間にワードローブの中に住んでいた。お菓子をあげようとすると「ミルクチョコレートよりもシルクチョコレートだったらよかったのにね。」と言う。シルクは食べられる。食べると肌と心が綺麗になり毒消しにもなるとのこと。ぴるるくんは生意気だけれど博学で思慮深く、僕は人生経験の半分はぴるるくんによるものだと言うと過言な場合ではあるが、この限りではない。受験勉強していると国語崩れで舌足らずのくせに蘊蓄を垂れてくる。それは受験勉強にこそならないが理解しようとするとなんかが鍛えられている。くよくよの踊りをみてしまった人のごとくぴるるくんの喋りには影響を受けて自分の言葉はおかしくなった。国語の偏差値はがくんと落ちたどころか70を超えるようになったからいいけれど、この喋り、いや、この思考回路は元に戻りそうにない。
ぴるるくんは本当になんでも知っている。でも家はどこか、何歳か、学校には行かなくてもいいのかと聞いても「僕はどこにでもいるよ、さいぼうぶんれつしてるんだよ」などと答えるのみだった。何を聞いても的を得られないから「ということは君は妖精だね」と聞いたら「干しぶどうだろ?」と答えた。(干しぶどう→干しずぼ→すぼ星→図星)。なぜこちらが図星にならなければならないのか混乱しているうちに消えていた。