A&D GX-Z9100


GX-Z9100


粘りのあるコシの強い音。回路の音が濃厚。TEAC V-6030sはあっさりとしてる。
MONITORスイッチを使ってSACD&DVD機の出力と切り替えしてみると、SACD&DVD機よりリッチな音を出していた。SACD&DVD機(NS900V)は雰囲気を細かに伝えてやわらかい音を醸すけどやや淡泊で、GX-Z9100の方はちょっとくどいけど良いパーツを使っている音だった。古き良き時代の産物。
古い機種だけど録音の質は悪くはなかった。DOLBY NRではノイズは消えるけどこもる。回路が病んでるのか。もともとの音に近いのはNR OFFのほう。
とにかく濃厚な音が印象深いテープデッキでした。

テープのよいところ
昨日のつづきから再生できる。のこりは明日にできる。とくにクラシックとか長大な音楽だと冒頭ばかりじゃなく満遍なく聴くことができるのがいいところ。
未開封のソフトがオークションで出品されることがある。開封すると「現在まで残されていたものを自分の手で開けちゃった…」とか思うけど、遺産のわりに結構いい音で鳴るので、それがまた罪悪感。
テープはカシャカシャいうから「音楽を再生します」っていう気分になる。
MDよりいい音。


音の原理は物理的に見れば単純なものだけど音自体は単純なものではない。
スペクトル包絡は帯域ごとに単純化された音圧のサンプリングで、音をグラフで見ると音とはなんとまぁ単純そうだけど、現実は音色をそのままに表現する手段はない。音は音でしか表現できない。どんなに血眼で望んでも音を見ることはできないし、水の原子に触れてみたくてもビッグライトもスモールライトもないので高分子でできた手ではどうしてもその感触を確かめることはできない。きっとAgを20cmまで拡大したら、太陽系のように反映してるだろうにな。
デジタルの音はエイドスですべてを構造化しているようなもの。現象化すればヒューレーとなるけど一旦エイドス化された音なのです。それはいいけど実証主義的に突き進んで現象を思いどおりに操作できても本当に人間にとって良い音かどうかにまで符合しているとは限らない。なんでか解らないけどA&DのカセットデッキとかQUADのプリアンプに回帰してしまう。テオリアが必要なんだと思う。魂の観想が。以上、哲学染みた発想。