空間的な広がりの緻密な2WayのNautilus805に隠れて目立たないけど 804の具体的な音像にはトールボーイのアイデンティティーが感じられる Nautilus803はふわっとする。804はわかりやすい音 |
解像密度はユニットのサイズと数で決まる。 ユニットに振られる帯域が狭いほうが分解力があるかな。 |
プアマンズノーチラスであるCDMシリーズとは基本的なトーンは共通である。Nautilus 804とユニット数が同じのCDM9NT(一番右)は解像度においてもほぼ同格である。音の気稟が違い、ノーチラス804のほうがふんわりとした浮遊感があり多少響きが色濃い。CDMシリーズの方はやや雑味がある。 外装の色合いはぜんぜん違う。同じレッドチェリー色でもノーチラスの場合はデジカメでは色が乗らないほど深い。直射日光に当たればレッドになるけど2003年式のコンパクトデジカメ(Dレンジ高くない)で接近してフラッシュを焚いてもはっきりとした色は出ない。CDMシリーズはフラッシュを焚かなくても色が乗る(要するに、反射せず、光が沈着する)。塗装処理の回数が違うのだと思う。 Nautilus内での比較では、N805とN803はクラシックでN804とN802はポップに合わせて音決めされたらしい。N805とN803はふわっとしているが、N804はリニアで直線的な音で、皮膜的で淡麗傾向である。多少もっちりしていて明るめのトーンではある。でもノーチラスはどれもノーチラスの音。現代のブリティッシュフロンティア。 |
ジャズはJBLのような濃厚さはないし室内楽はソナスファベールのような清澄感はないが、ノーチラスは基本的にはどんな音楽でもオールマイティーにいける。音量をあげても品位の高さが保たれていて爆音が下品に思えない情報量がある。一番再現の難解なフルオケでも窮屈さを感じさせない。タンノイのStirling HEのように厳格なトーンでもなくウィーンアコースティックスのHaydnやMozartのようにグラマラスでもないが、不完全な混濁感などを伴わないで明快に出てくる。伝統のブリティッシュサウンドとは決別しているし、ウエストレーク・オーディオのような血の色の濃さはないけれど、曖昧さとは決別した先進性によってソースに忠実な音を出す。こういうスピーカーはセッティングにも敏感だとは思うけど、なんかセッティング極めるとか、しなくなる。どこまで志向するかになると思う。小音量時でも、ビクターの再現力に引けをとらない。ソースが通過しやすいからだと思う。淑やかな気稟が音量を下げても保たれる。フィデリティーが高く直截的(悪くいうと機械的)なので音楽性の高いアンプと組み合わせるといい。特にAuraの鏡面プリメインはよかった。かつてはB&Wの傘下に在ったらしい。 |
ノーチラスツイーターを横から見ると、太陽風と地球磁気圏の関係のような形をしている。画像 戦艦の砲撃砲のように高域はここから放射される。存在感を感じさせない高域。至近距離に耳を近づけると、前使ってたCDM1SEと同じ風にサーサーいってる。感度が良いのかな、ダイレクトに来ている感じだ。 |
中域は全モデルのアイデンティティーになってる黄色のケブラーコーン。Nautilusはフェイズプラグの形状が尖ってる。材質的にはCDM1SEのケブラーに比べてなにか違うかなぁと思ってミクロに覗いてみたり触ったりしてみた。材質は同じだった。枠にスポンジがあったりという違いはある。音色を作るのはユニットの材質が一番大きいのかな、ケブラーはケブラーのトーンだ。粒立ちはいいけど端麗で、基調は乾いている。 B&Wはふんわりとしているのに角が立つとよく言われる。濃厚でトローリとした感触に近づけたかったらAuraやMcIntoshなど使えばいいかもしれない。B&Wは鳴らしやすいしフレキシブルで使い勝手がよいので好みの度合いにできる。 軽くて強靱で楽器的な響きをするケプラーコーンだが、デメリットは編み目がほどけることらしい。音が変わってきたなぁと感じたら、編み目を見てみると良いかも。ONKYO D-77RXの片chのウーファーのエッジが劣化して破けた事があるけど、その片chの低音はかなり薄まっていた。音の現象はまか不思議なものである。 |
低域は中庸なバランスで出てくるが横の幅がないトールボーイらしい音の形。ボンつきはあまり感じない。この素材は紙とケブラーの混紡で、中域と音色的なつながりを持たせようとしているようだ。バスレフポートに耳をあてると綺麗に響いているなぁという感じがする。ダブルウーファーだが重厚さより軽快なノリを選んだようなユーザーフレンドリーなまとまり。ドルチェでムーディーな居心地よさを損なわない節度も感じられる。 |