Banana Cuprum
大峰山さまからのおたより







大峰山様という方からお手紙をいただきました。
まことにありがたいことながらこのページでは「バナナプラグとその素材」について転載させていただきます。cf. 「酸洗

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 初めてお便り差し上げます。H.N大峰山と申します。
 犬介様のオーディオケーブル批評を大変興味深く拝読しております。同時にケーブル購入・組立て時に参考にしております。
 さて、本日お便り差し上げます内容は、貴ホームページにて紹介されていました純銅製バナナプラグと、銅の酸化皮膜除去についてです。
 ネット上にて「純銅製」と銘打って販売されている安価なバナナプラグはほぼ紛い物です。一般にバナナプラグは胴体部は真鍮(銅と亜鉛の合金)、先端部は燐青銅(銅と錫と燐の合金)が用いられます。先端部は弾力(JIS用語でばね性)が要求されます。純銅はバナナプラグに必要なばね性を備えておりません。バナナプラグに求められるだけのばね性を備えている銅合金は燐青銅、洋白(銅、ニッケル、亜鉛の合金)、ベリリウム銅(銅、ベリリウムの合金)の三種のみです。この内、ベリリウム銅は純銅に比肩する導電性を備えていますが、燐青銅、洋白は真鍮ほどではありませんが純銅よりはるかに導電性に劣ります。しかしながらベリリウム銅が高価過ぎるために前二者、特に、最も安価な燐青銅を用いた製品が大半です。
 話を戻します。私も貴ホームページに倣い「純銅製」と銘打たれたバナナプラグを幾種か購入・使用しました。使用前にやすりで鍍金
(メッキ)を削りましたところ、胴体部、先端部共に茶色ではなく銀色、即ち洋白製でした。尚、燐青銅及びベリリウム銅は茶色で見た目には純銅と区別がつきません。使用してみたところ、若干ながらノイズの低下を感ぜられました。おそらく胴体が真鍮から洋白に変化したからと推測されます。
 銅に比肩する導電性を有する金属は、前出のベリリウム銅以外には銀、テルル銅(銅とテルニウムの合金。真鍮の代替品。非常に高価)の三種のみです。上記四種のいずれかを使用し、かつ安価なものは、高知県のケーズラボ製のテルル銅バナナプラグと(以下略)。
 以上、初めてのお便りにも関わらず長々と私見を述べてしまい大変恐縮ですが、何らかのお役に立てれば幸いです。
 乱文を最後まで読んで頂きありがとうございます。それでは失礼致します。

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 (上略)犬介様の使用されているバナナプラグ[URL]の材質につきましては、金、銅以外の金属は全て銀色ですので(合金除く)確証は持ち得ませんが、ほぼ洋白だと推定しております。ばね性を有し、電極に必要な導電性を備えた銀色の金属は洋白くらいと推測されます。尚、合金と申しましても、洋白の主要用途は電極と五百円硬貨ですので、胴体部も洋白の場合、真鍮製に比べ若干の音質向上が期待できます。例えば、リモコン電池用の電極はほぼ全て洋白製です。
とのこと。僕のレビューは洋白のバナナプラグのことか。真鍮のようにキンキンしないだけいいけど純銅製にしたらどんな音になってしまうのか。メッキとかはんだの違いに比べたら導体による音の違いはかなり大きい。尚、各種半田の機能、性能については電子部品、電子基盤用半田の最大手である石川金属(株)のホームページに詳しいですとのこと。

 (中略)話は変わりまして、各社のバナナプラグについて、私見を述べたいと思います。極めて主観的な見解ですが、お役に立てれば幸いです。
 抜群の費用対効果を持つものはケーズラボ製テルル銅プラグです。1300円/個とやや高価ですが、性能は抜群です。私の聴覚は高音にノイズが混じると鼓膜が痺れるようにできているのですが、本プラグを使用後は前記症状を感じなくなりました。ロジウム鍍金製品しか作られておりませんが、響き、余韻の抑制は弱いように感じられました。内径は6mmと広いので、バイワイヤ接続のアンプ側にも使用可能です。その他、あるメーカーの製品に、純銅の一本棒に無鍍金(無メッキ)又は各種鍍金を施したものがあるようだ(ランタンがないタイプ)。現在は無鍍金のものしか残っていないけれど、「無鍍金品は防錆の観点から人気がないものと思われますが、メンテナンスさえ怠らなければもっとも導体の特性が反映されやすいと推測しております。」「尚、私は低音嫌い且つものぐさなので裸線や無鍍金品での接続は全く行っていません」とのこと。
 上記二点以外は特筆に値しません。安価な「純銅製」は材料を偽っておりますし、本当に純銅、ベリリウム銅、テルル銅、銀製と思われる製品はティアックの輸入するWBT(独)の9000円/個を筆頭に馬鹿げた価格のものばかりです。その中でもましな物は、ワイヤーワールド製BANLK 3500円/個(銀鍍金のみ)、オーディオクエスト製500BFA 2300円/個(金、銀鍍金。但し磨耗にとても弱い)程度です。日本メーカー製で上記四種の金属を使用したもの(ケーズラボ製品除く)はフルテックのFT212(内径4.0mm、2500円/個)とCF202(内径5.5mm、6500円/個、ロジウム鍍金のみ)の二点だけです。
 列挙しました内、ケーズラボ製品は社長個人の設計技量・商才によって成立していますので、社長の引退と共に消え去ることになります。犬介様の紹介されていましたSound Geekの織田氏にも同じことが言えます。
 職人の良心とも呼ぶべき製品が短期で消え去ることに寂しさを感じます。