DIATONE DS-1000ZX



PLAYER / AMP / SPEAKER / HEADPHONE / etc.



 DIATONE DS-1000ZX
直に手に取るといかにもCADで設計されましたような存在感。ユニットはY軸に垂直(Perp)に配置される。側面にeを加えたキャビネット。裏面もC30ぐらい面取りされている。DS-2000Zは職人さんの手作りのバッフルでその丸みに温かみがあったけど、DS-1000ZAはラインの工程で製造しやすいよう合理性優先のキャビネット。上下の音のつながりは人工的で、周波数特性の凹凸はアイソパラメトリック曲面上で要素調整されている。低域は4312Mk2のネットワークレスのウーファーのほうが遥かに音味がよい。中高域もPIONEER S-07のようなピュアさは出ない。
VictorのSX-V1/V7はマホガニーの響きを活かしたスピーカーでC.O.T.Yで、DIATONEも2WAYのDS-A5等は木質的な響きを活かして設計されてベストバイ上位だった。一応DS-1000ZXは裏板に響きをもたせた設計になっているけれど Normal to Planeに配したのみ。DS-1000ZXは高域にも低域にも節度があってドンシャリな傾向ではないが、堅苦しい音でゴツゴツとしたところはある。たぶんアンプによるけど。C.O.T.Y受賞のDS-8000Nはフラッグシップでもありパルプコーンを蘇らせた意欲作で温故知新と評されていた。クロスオーバ−周波数固定のネットワークボックスが用意されていた。自分でも遊べる。

ユークリッド次元+時間⇒ 4D宇宙
音+音楽性、シェーディング⇒ オーディオ
DS-1000ZXは音もCAMで設計されてるので(←想像)、計算通りの媒質にソリッドをもたらす必要がある。VictorにはVictorの、TechnicsにはTechnicsの音がある。PioneerはM-90もC-90もプリアンプとパワーアンプなのに共通の音色をしている。アメリカンもブリティッシュも人の耳に練られてそのお国柄の音になっているけれど、DS-1000ZXは耳にかける以上に論理を信用されている。結果的にはDIATONEの音というものはあるけれど、創造的な個性ではなく偶然の産物かなと。ボロンとかアラミッドクロスやDUD構造など固有音を無くされた先にある音色。DS-1000ZXは上下の音のつながりが良く歴代で一番こなれているとは評されているものの、聞こえてくる音は完璧に三菱財閥。無機質なので、パラドクシカルなことに人間嫌いにも受け入れられやすい音になっている。ブリュートーナー製のピアノ(エッジの円い鏡面Auraのような音がする、オルゴールの音みたいと表現する方もいる)はDS-1000ZXが一番よく出てくる。ソースをそのままに引き出せる。Acoustik-labのBoleroは音楽性はあるけど¨Boleroのブリュートーナー製のピアノ¨になってしまう。DS-1000ZXは個性が空性である分ソースに素直に順応してる。
全体的に陰性の音。渋くてシビアで難しいことを考えだす音。ミッドレンジはヴァイオリン・チェロがダンディーな陰影を含んでいる。ホールトーンがある。残響音という概念を聴覚に直接的に思い起こさせる。余韻は長くは伸びない。低域もタイト。中域高域もタイト。トランジェント特性に優れているといえば優れている。
DS-1000Zより明るいゴールドになったウーファー
レジン(樹脂分)を廃し軽量化を成功したアラミッドクロス振動板ウーファー。密閉なのでタイトに引き締まっていて、付帯する音がないためすっきりと音像を描く。至福な音は出ないが音階がわかる。音像が水面の波紋のように空中にゆきわたる中にあるゆるやかな音階ではなく、明確に釘打つ音階。
エッジなど経年変化に強く長期使用を見越した仕様。エッジ軟化剤(ブレーキフルード)をエッジに塗ってゆるゆるにすると低域が増大するけれど、密閉なので背圧の悪影響を考えると、ほどほどがよさげ。発売時の動きを知っていればいいんだけど。
DIATONE DS2000ZXとAURATONE 5C
隣にあるのはAurasoundのフルレンジ。ここまでの大きさの差。DS-1000ZXは真四角のスピーカーかと思いきや実物見ると意外と立体感があった。ONKYO D-77RXを並べるとD-77RXは角張って見える。DS-1000ZXはDS-800ZXより上位モデルということで円い仕上げになってる。カタログでみると23mmと60mmのピュアボロンドームと27cmウーファーが平面的に並んでるだけの印象だったけど、実際の視野角では意外とミッドレンジの網が膨らんでいたりして食指をそそる感がある。
畳は音響的にデッドでオーディオには不向きだと言われるけど畳は複雑な構造をしているし自然の素材をそのまま使っているので音色は自然である。石畳のように澄んだ響きは出ないけど、ストレートな純度の高い音がそのまま運搬される。畳があるという事は壁は障子なので、音のエネルギーは外に逃げる。無響室に近いだろうか。そんなデッドで響きのしない部屋でこんな純国産なスピーカーを使うと面白い音はしないけど、アンプからきた音がそのまま耳までくる印象。だが、家が畳だろうと落胆はしない。畳なら8畳までだろう。ならばニアフィールドで使えばいい。ニアフィールドならどこだろうと関係ない。音が痩せない。ニアフィールドは点音源が理想とか言われているけれど、あくまで理想。自分は3WAYの豊富な音に包み込まれる感覚も好き。カーオーディオもニアフィールドだけどツイーターが別の位置にあったりしません?
高校当時、この3WAYの形状に憧れてた。このB4Cボロンのドームや、ゴールドなアラミドクロスコーン。どんな凄い音がするんだろうと思ってた。しかしオーディオフェスタで聴いた時、とても素っ気ない音の印象だった。なぜ各メーカーAccuphaseで鳴らしたがるのか意味がわからない。精確だからかな。分析的な聴き方をされることを想定してかな。今ならデジタルアンプがあるのでデジタルアンプのがいいだろう。その分、アキュフェーズはヴォイシングを繰り返して美音になってきてる。
アンプ相性診断
ROTEL RC-1090 + RB-1080 75点 : 花火が弾けるようにシャープな鳴り方だけど、そのS/Nの高さの中に、もっとふっくらなる要素がほしい。一言で言って機械的。
LUXMAN M-7i 65点 : パワーアンプ。ふっくらな鳴り方をして振動板が音の量にゆすられるようだけど反面センシティブなところが抜けてる。その量感に機敏さが両立したらいいと思った。褪色してるのが、そのまま出てしまう。
SONIC IMPACT T-AMP 55点 : PWMアンプ。TRIPATHのTA2024採用。非常に安っぽい機械的な音。でもさすがデジタルアンプで上下平均的にすっきり鳴らせている。参照 Model 5065 Portable
SOULNOTE sa1.0 75点 : ソウルノートの鳴り方になる。微細音はよく出るけどDIATONEの解像度としてはやや貧弱なところあり。でも生命感は損なわれていないところは良い。
LUXMAN M-70f 70点 : 解像は横幅も含めて良いバランスで鳴っていて鮮度もそこそこあるけど褪色した音がそのまま出てくる。豊かさと生命力が足りない印象になる。DS-1000ZXは出てくる音の種類と量があり普遍的なバランスを保っていて、ケーブルの個性までたしかなトーンで描き分けるけど、LUXMANの通常音量では演奏される音楽がいつも気怠かった。
Sansui AU-9500 85点 : (・∀・) とてもいい。Sansuiは基本的にDIATONEやJBLの3WAYと合うけど、AU-9500は国産トランジスタアンプの中では主立って良かった。DIATONEなのに神経質な要素がなく、ヴィンテージな安堵感に浸れる。D.レンジの拡大に伴う耳当たりのきつさがない。高域方面の純度や音の広がりには不足感がありディテールの表現も弱いがこの音はいい。
ADYTON Opera 90点 : トランジスタの中で一番よい。解像には少し物足りなさはあるが不足している帯域はない。ピュアな要素でソリッドを満たされる。ふっくらとした鳴り心地。ソースそのまま通過する素っ気ないこの振動板に、甘いトーンがさりげに乗ってる。
東京SOUND VALVE100 95点 : 参照Valve100(6L6GC)。DIATONEは真空管で鳴らすと最高だった。ここに辿り着くのにどれほど回折したことか…!DIATONE DS1000ZAには管球アンプがよかったみたいです!よかったみたいです!とそこらじゅうの家を回ってドアを叩きたい。DIATONEは細くて鳴らしにくくてきつい音という認識の人には真空管を勧めたし。ここまで素性丸出しなスピーカーだから。
M.J.Q 6V6PP TUBE AMP 90点 : 北海道室蘭市のガレージメーカー。東京SOUNDの方が厚みがあって面白いけど、このアンプは素朴で落ち着く。いかにも管球くさい田舎の音。群馬県のDIATONEのままの音。真空管は微粒子(空気感)が減衰しにくい(極小音量でもねずみ色世界になりにくい)。B4Cドームは真空管の特性に合っている。でもウーファーは密閉なので駆動力は必要か。半導体は微小音がスパッと削げ落ちる反面ウーファーの駆動力はある。真空管はウーファーの駆動は苦手。
後記:HiT開発研究所のLTC101055Sが最強。微小音と大きな信号の駆動を両立する特許がある。CASの陶器製のスピーカーが生命感豊かに鳴る。SPケーブルはサウンドギークというガレージメーカーの絶縁体がシルクや綿のケーブルがいいと思う。



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