KENWOOD S270
2011.08

基本的な音調はLS-1001と同じ。その想い出の蘇る音色でありながら、よりしっかりした音像。サイズの割に重心は低めで高域はしっとり。ネットワークでツイーターの抵抗を大きくされてる。音圧は低めで優しい音。小音量向け。
S270は解像度が低いけど、コクがある。テレフンケンやMullardの真空管にはコクがあるらしいけどテレフンケンよりS270の方が安いですからね…。LSF-777でも良いと思います。




KENWOOD S270。上位機種にS270SSがある。

ケンウッドはオーディオ入門メーカーという世間の位置付けで、家電量販店はケンウッドの製品を高級オーディオとしては取り扱ってくれないらしく、ケンウッド自身はもっとコストをかけて理想を追い求めたいようだけど、それは現実できないようだ。
でも1999年発売のS270は小型ステレオ最盛期の製品で、歴代のミニコン・ブックシェルフでLSF-777と並び最も高品種のスピーカーになる。ツイーターのホーン部分はメープル製で一品一品手作り。このホーンの形状の効果なのかシルクのタッチの中に凹凸感がない。高級オーデイオの音が出ている。このモデルの原型?に弩級の上位モデルS270SSがある(定価120万)。

S270は、ニアフィールドでも遠距離でも音質の差が少なめ(ONKYO D-77RXは結構ある)。その原理がいまいちよくわからない。ユニットの距離?
大きい音と小さい音の差を縮める技術はKENWOODは天才。タイムアライメントが調っているのか定位も良い。ふんわりした基調だけど指向性が均質?なので、かなり広範囲が宇宙に包まれている。3WAY 28kgのD-77RXに比べると情報量が少なくて管弦楽の余裕さに不満を感じるけど、ホールトーンは心地よく、ケーブルの違いはちゃんと出てくる。KENWOODの純銀製のスピーカーケーブルを使うと最高にマッチしていた。

KENWOOD S270の日記
2019.10 AVには向いてない。参考:DENON SC-M39
2020.06 EL34の真空管アンプで鳴らしても良い音だった。でも相性。色気にも種類がある。
2020.08 ポップスはQ Acoustics 3010iのほうが晴れやかで音離れが良くて好ましかった。管弦楽の響きは比較にならない。
2021.07 ドラクエやると出ていない効果音がある。セリフは薄い。その辺は最新のKENWOOD LS-NA9のほうが良い。
2021.08 MOS FETのアンプで鳴らすと濃密な色気が出てくる。Congeniality
2024.03 DENONの不朽の名機とされるSC-E757と比較すると、KENWOOD S-270のほうが空気感がよく出ていて魅力がある。でも解像度やfレンジなど総合的にみるとSC-E757のほうがええ。だけど、S-270の魅力的な音色はなにものにも代えがたい。うっとり。すぐ飽きるけど、それまでは。







「ネットグリルには音を汚さない新開発のDDグリルを採用」
ネットグリルをはめた姿がやたらかっこいいのが不思議である。金色のロゴとサイズと位置、ネットグリルの3次元的形状、キャビネットの色との調和…。些細なところに感動してまった。オーディオにこだわらない一般的な学生のお姉さま方は、とくにこだわらずにこれ買って、枕元に置いて、ネットグリルを外して使うなどということを想定しないので(「なんでネットグリルを外すんですか?」という反応。ネットグリルを外したら壊れると思ってる人もいる)、ひとつの観葉植物的な佇まいを決定づけるものとしてこのロゴのプレートは重要なのである…!!。しかし今は小型オーディオどころかポータブルプレイヤーが全盛の時代なので過ぎ去った都会の芸術である。(だがS270は外した方がかっこいいし音もよい)



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