Nanotec-Systems MS#207
緑ワインの端麗な味…




人は生命を求めて野菜や肉を食べたり神社仏閣でパワーを浴びたりする。その性質が清く愛らしいほど気持ちが良い。子供の肌を美しいと感じるのはなぜだろう。肌理が細かく(解像度が高く)滑らかで(階調が滑らかで)血色がよいこと(毛細血管が張り巡らされている;微小信号に充ちている)、それ以外には血を造る臓器が健康であるゆえに血自体の色が良いことと、肉体を護り傷んだら修復を促す神経系の質と量。子供の皮膚の弾力感を心地よいと感じるのはなぜだろう。コラーゲンやヒアルロン酸の質と量とか毛細血管の弾力とか。あとベビーアルパカの毛の気持ちよさとか子猫の毛も。もう言い出したらきりがない。良い音とか悪い音も主観的なものだけど、ホールはホールトーン(エーテルと譬喩されるほどの微小音)に満ちている。城や教会なら石畳のホールトーンに、コンサートホールは木質系のホールトーンに。鳴らされる楽器の楽音は、まだ生命力の高い子供の鳴き声ほどは美しくないが、生きた音を出している。電子音は数学的均整がとれている。
〔ケーブル総括〕モガミとかベルデンとかカナレなどのスタジオ系のオーディオケーブルは、主にノイズに強く、分析的で、無機質な音色に感じられる(また、高音は聞き取りやすいのかもしれないが、楽音が普遍的に出て来ているとも思わない)。スタジオ系のケーブルはリファレンスに使うには若干物足りない。至福さが足りてない。
オーディオが演奏等のチェック用ではなくリスナーとして音楽や音を楽しむものである場合、帯域的なフラットさやリニアリティの良さは関係ない。ラティチュードの広さが重要である。リスナー側の人間に真空管アンプが好まれる理由は、エーテル性(微小音・空気感・エアー)の情報が生きているからかもしれない(銀塩とデジカメの違いにも通底してる)。あと奇数倍音が出ないとか。トランジスターアンプの音色が機械的だと感じられる理由は、真空管とは反対にリニアであることは良いが、エーテル性の情報の脱落とか奇数倍音の多さなどだろう。技術者曰くトランジスターはあるレベル以下の音素は脱落しているようだ。その証拠にか、ボリュームノブを絞ると音の風景は褪色する。
ケーブルでも似た事象があり、たとえばMonitorPC(現inakustik)のスピーカーケーブル[Cobra, Silverシリーズ]はリニアリティは低く張り合いのない音だけど(毛細多芯構造ゆえに迷走電流が多いから?)、ホールトーンが穏やかに満ちている。小さな音が良く出てくる。眠る事が出来る。価格コムのスレッド[URL]でも生産終了が惜しまれる本当に良いケーブルでした…特にCobra PC-M8。アクロリンクが採用している三菱電線工業株式会社の6Nや7Nの導線は銀線よりも高価なぐらいだが、正統派の実力を持っており、その音はエーテル性が生きていて温かみがある。導体のみで音が決まるわけではないが、さすがは三大財閥のポテンシャリティだと思う。HUBER+SUHNERのブルースーナーは独特な音をしている。HUBER+SUHNERのケーブルは色気があると言われる。ブルースーナーは単線で一極に集約する感じの音質で、集約する帯域ではエアーが出てきてハモっているようにも感じられる(銀メッキの音色効果かもしれない)。「色気」というものの見方には色々ある。ハモっていれば色気に感じられる。ソースが元々ハモっていれば、そこまでエーテル成分が引き出されば色気になる。その場合はスタジオ系ケーブルの方がいい。ハモっていないソースの場合はハモりを出すケーブルが居心地がいい。ELSOUNDのパワーアンプEPWS-5はRCA端子部でホットとコールドが10kΩの抵抗で結ばれているが(インピーダンスを安定させるためのもの;ノイズ対策素子)、それを外すと曖昧さの中に機微が感じられる音になった。fレンジは狭くなったけど微小信号の損失がなくなりハモりが出る。ちなみにRCAケーブルはパッシブプリからパワーアンプに繋ぐと違いが大きくてわかりやすい(ラインでも機材の純度が高ければわかるにはわかる)。プリアウト(音の小さい場所)に使うケーブルはシールドが貧弱だと外来ノイズによって音が褪色すると考えられるが、短くすれば良いらしい〔musica参照〕。
古河電工(Furukawa)(オーディオ部門が独立してFurutec / ADLになった?)のμ導体のRCAケーブルは、解像度が高くラティチュードが広く、湿度の感じられる感触のよいトーンだった(μ-P1)。桃やメロンの甘みとか畑のオリーブの葉で淹れた茶のかほり、最も果実の充実した音。フルールがまだ剥げてないのだと思う。日立のMelltoneはシースはピンク色だけど透徹とした音。フラットでリニアで蒸留水的な音なのにメロウな音を出す。それを鑑みてそんなネーミング&シースの色にしたのだろう。スタジオ系と云われるケーブルはフラットでリニアである。しかしラティチュードが高い分分析的で、無機質な音色に感じられる。ツイストペアの構造やキャプター(シールドやシース)が原因か知らないがスカキンな音になる。しっとりした印象をもった試しがない(ELSOUNDの例で言ったら10kΩの抵抗を外す前の音)。キンバーケーブルのように金属系シールドのデメリットを嫌うメーカーのケーブルは、一見頼りないが、家庭で使えばそのメリットのとおり自由闊達で開放的な音で鳴る。なのに無機質ではない。47研究所も「オーディオケーブルに金属系のシールドを使ってもほとんど効果がないし、アンテナの効果が生じるデメリットが大きい」と考えている。その極端な例がModel4708。4708は導体が細いため強い音がキンキンするけれど。
ケーブルは摩訶不思議だ。ケーブルの世界には何が正しいという絶対性はない。西欧のケーブルに極細多芯タイプが多いのは日本やアメリカよりクラシックがよく聴かれるからだろう。






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Music Strada #207 (MS#207) のシールドは、アルミ泊ではなく銅泊。銅シールドもアルミニウムシールドもノイズ遮蔽効果は全く差がないが(電線総合技術センター調べ)、音色が違うのだと思う。ドレイン線は片方にだけつないでくださいと説明書にある。入力と出力の両方に接続すると(銅泊に通電させると)、中心導体に影響を及ぼす。

MS#207のマラカイトグリーンは若々しい新緑の音を言い表してるのかな。個人的にはもう少しモスグリーン寄りでもよかった。プルシャンブルーとかサップグリーンとかインディゴ色でもよかった。と思ったのでヘラゲインのスリーブを使ったら結構かっこよかった。
MS#207の音質は基本的にはヒューミッドな傾向。モニター基調ではなくオーディオライクな音調。金や銀のナノコロイド液を導体表面に含浸させて浮遊電子が悪さをする事や表皮効果の改善や導体表面の酸化防止など、機械的・音質的に合理的なつくりをしたケーブルで、その先進的な構造と電流の特性ゆえか、エージングをしてない状態では時にハイアガリでキンキンした感じも受ける。プラグ内に綿を多めに詰め込むと、もともとの情報量やリニアリティが高いので、ほどよくこなされる(綿は音をこなす効果がある。特に導体に接触すると変化度が大きい。綿それ自体が非常に軽くて振動発生源にはならないし、振動を吸収またはこなすからだと思う)。
MS#207は万能型で優等生型のケーブルで日本らしさのある音調。フィーバーはあまりしない。ステレオサウンドの付録品ケーブル[URL]を聴いたあとだと音色の豊かさにおいては物足りなかった。MS#207は「伴う音」が多い。無機質な美質はPCOCC-H導体のスタジオケーブル[URL]ほどではなく、空間の広がりやストレート感はACROSS750ほどではないけれど、ホールの音楽は優しい感触を備えている。ポップス系では定位よく楽しい音を出す。HITACHIのLC-OFC導体を採用したオヤイデのケーブル[Quantum]ともまた違ったまゐるど感を出す。分厚さでいったらQuantumが勝るが、MS#207は清楚な魅力もあるので甲乙はつけられない。同じ優しい系のフルテックの単線FA-13Sと比較すると、MS207は優しい中に音像の豊さがある。ドラクエの音楽はナノコロイド液に浸された世界を活き活きと踊って出てくる。ユキビタスな音で、何を再生しても岩清水のように流暢に流れる。フルテック FA-13Sは音楽を選ぶ傾向あり。帯域にも起伏がある。ハマればその優しさの本当の深さを知れる。上位モデルのGOLDEN STRADA #201 nano3と比べると、MS#207のほうが高域が艶やかで定位が良い。GS#201は微細な音が豊富でふっくらしていて空間感がある。ナノテックシステムズは音量適性の幅が広いかもしれない。フルテック FA-13SよりナノテックシステムズMS#207のほうが小音量時の音がわかりやすい気がした。小音量時はどれでも埋没してくすんでいるものだけど、MS#207はその中から果実めいた明るいエッセンスが聞き取れた。通常音量ではフルテック FA-13Sのほうが高級な湿度感がある。


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3.5mmの場合 4708 MS#207 GS#201 Neglex2549
解像度
音の種類
甘美さ
S/N感
解放感
高域
中域
低域

MS207のシースは剥きやすく、導体がφ0.32mm×7本と太めなのがいい。作業性がいい。導体が形状記憶するからハンダ付けの時に接合面に置きやすい。とても作りやすくて10本ぐらい作りたくなった。ドレイン線はGroundで使う。ドレイン線は細くて断線が気になるけど折り畳み時の緩衝役になる綿糸もあるし柔軟性はある。S字を描いてから溶接すると無難。MS207は柔軟性があり、30cmほどあれば180°曲がる。ポータブル等でも使いやすい。3.5mmラインケーブルに理想的だと思う。音質は四十七研究所の0.4mm単線ケーブル4708に比べると、独特の解放感や明瞭度は落ちるものの音の種類は多く満遍なく出て来る。中域以下の開放感を味わえるのがよい。ピアノは47研のように乾いたコクのある感じではなく、基音の帯域にしっとりとした蒸気感が伴う。普遍的なバランス。






ナノテックシステムズのカタログにはゴールデンストラダ#201 nano3の耐熱温度は書いてないけどミュージックストラダ#207の耐熱温度は90℃と書いてある。車載できる。MOGAMIのNEGLEX2534は70℃。車載するギリギリのライン。シースの触感はさすがにゴールデンストラダはさらさらで最高だが、きっと熔けやすい。#207の触感は平均的な品位。
この緑色のケーブルも、カーオーディオで使うと結構かっこよかった。色とかファッションは摩訶不思議。たとえばスーツでadidasのスニーカーはあり得ない組み合わせなのに、ブレザーの制服にadidasのスニーカー・バッグは、なぜか似合うのだ。その原理は我々の知能を超えている。一生かけてもわからないだろう。