spendor SP-100

SP-100

試聴
CD:ロビーロバートソン



SP100は2003年の9月からちょうど一年間使っていた。
今になって、さまざまなことを思い出す。
当時の想いの記録もたくさんある。
朴訥な形をしたスピーカーで、音も素朴だった。


SP100
代理店 トライオード
標準価格 672,000円
サイズ 700mm x 370mm x 430mm
重量 36kg
インピーダンス
音圧レベル 90dB
クロスオーバー 600Hz, 4kHz
再生周波数 45Hz 〜 20kHz, ± 3dB
最大入力 125W
接続 トライワイヤー(SP端子3つ)


 古きよき時代
 Classicシリーズから出る音は芸術的な要素によって音楽的に構成されている。無垢板のエンクロージャはバイオリンのごとくビリビリと振動し、弦楽は音楽を抉り、部屋の壁が心地よい響きに満たされるほど音の波に密度が感じられる。女性ヴォーカルは消えゆくように甘い。そして優しい。地味な音だがコクがある。基本的にアコースティックが得意のようだ。床までビリビリと震えていて(音叉)、スペンドールは空気をわかっているんだと思った。
 工芸魂の伺える銘機
 ヨーグルト、ワイン、ビール、納豆 etc... なぜ醗酵したものは旨いのか。細菌類によって元来備わることのなかった成分が生み出されハーモニーが多様になり、単純な形をしていた分子も自然のうちにほぐれたり複雑になるからだろうか。スペンドールの豊穣なサウンドには、そんな捉えきれない深みがある。前のユーザーがいたく愛情を込めてアコースティックの繊細な波形に長いこと浸らせたからかもしれない。素性的なものか情操教育によるものか、非常に素性のよい鳴り方をする。発酵の仕方にも喜びによるものだとかやっつけ仕事だとかある。酒樽にDS-A3でモーツアルトを流して聴かせる酒造を見たことがある。そのことを思い出す。いい音楽を聴かせるとイーストやら酒の妖精たちが喜んでおいしい酒ができるらしい。日記にも書いた。
 スペンドールは全般的に弦楽の響きが美しいけれど、SP-100の場合は特に低域の表現力に不足がなく、BBCモニターにふさわしく特に遠近の再現力が優れている。コントラバスはちゃんと遠くから聞こえる。よく発達した第六感による音楽的洞察力や、限りあるキャパシティーで限りない理想を求める工芸魂が伺える。
 時は過ぎて思い出すのはあのふるさとの音
 学校の音楽室に置いてありそうなスピーカーで、ラジオ体操が似合いそうなスピーカーだった。オールディッシュで味わい深いがスペック的に高い鳴り方はしない。受動的に聴くと退屈。
 演奏終了後拍手が沸き起こる。いかにもライブ録音っぽくノイズに聞こえがちのその拍手に、spendorのSP100ではスタジオでの熱っぽさがある。これはプロユースのモニターなんだなぁと、とんでもないものを部屋に置いてある気分になる。道楽なんかに使っていてもいいものなんだろうかと。自分に似つかわしくないし、所有しているとなぜか恥ずかしくなったりもした。
 アンプに悩んだ
 これは一体どんなアンプで鳴らせばスペンドール使ってるあの喫茶店みたいな音が出るんだろう、と思ってた。それと同時にこんな本格的にでかいものじゃなくてもスペンドールは充分綺麗なんだと知った。
 アンプは僕はデノンのPMA-2000Vで鳴らしていたけど味わいはいまいちだった。代理店やっていた山水と同じくPMA-2000Vでもいけるだろうと思ったんだけど、響きが足りなかった。重心はしっかりして解像は滑らかであるけれど躍動感がいまいちで。山水においてはNRAとか昔の大半のモデルでは良いと思う。甘い音色のよさがある。XRは907なら海洋深層水の音で生命感もある。PIONEERのM-90もいいと思う。同じ国産でも現代調のアンプではなんか合わないのだった。今となってはどんなアンプが合うかわかってるけどアンプには随分考えさせられた。素人なりに、あのデノンですら鳴らなかったことに悩んで。
 もちろんお金があるなら悩むことはない。ブリティッシュのアンプが当然よいのだけど、十分にドライブできるレベルのものは高くて買えない。模索していた最中、ROTELの存在を知った。中古で3万のパワーアンプ(RB-980BX)を手に入れPMA-2000Vのプリアウトにつないで聴いてた。これがなかなか素晴らしい音で鳴ってくれてうれしかった。あとはAuraのプリメインならPSAMP1なら安心かな。鏡面時代のAuraはボンつくだろうけどソノリティは出てくると思う。ミュージカルフィデリティーのA3.2なら弦楽の繊細な響きまで醸せる。心残りとしてはマルチで鳴らしたかった。名機のQUAD 34/44 405をトライワイヤの中域にもってくるのも試したかったな。管球(300B)も。どんなに有機的に鳴ったことか。
 今はトライオードが取り扱っている。オーディオフェスタで聴いて、管球のためにあるようなスピーカーなんだなと思った。新型のSP-100Rはこれより多少冴えていて甘美な音に仕上がっている。ガレージメーカーの管球アンプで鳴らされているのを聴いて本当に聴き心地がよかった。スムーズに鳴っていた。あんな風に鳴るんだね。SP-100はデカい分だけあってアンプのみでなく環境にもシビアなところがあった。湿度の違いとかで変化するのが楽しめた。結局ポテンシャルの半分も引き出せずに手放したけどSP-100はあの時期の深い想い出になっている。あの季節の-AUDIO BBS-とか連想する。