Stereo & Oyaide elec. PCOCC-R RCA Cable

 


「Stereo」編 誰でもできる! 自作でオーディオアクセサリーpart.2:特別付録:RCAケーブル・キット(ONTOMO MOOK) [ムック] (音楽之友社) [4276962323]
この雑誌のふろくのケーブルは、単線、無はんだ圧着式のプラグ、シールドレスという仕様...。価格の制約もあるので、S/Nや解像度やfレンジの特性的なものは度外視し、最もおもしろみのある心地の良い音触を目指して作られてると思われる。ここまで極端な方向性に傾倒したケーブルは自分は持ってなかったから買って良かったと思えた。芯のない音だけど(軟体動物の骨格のように軟質)、柔和で音触がよく、ニアフィールドで聴くとその独特な味わいに濃厚に包まれる。スタジオ系とかプロ用のケーブルとは完全に反対の方を向いてる。
熱収縮チューブは取り外した。どうせなら綿とセーム革で包みたい。
プラグがなかなか高品位だった。このプラグなら買っても損はないなと思ふ。ネジ径が大きいから固く締め付けることができる。マイナスドライバーを強く回しても もげにくい。
ケーブルは古河電工のPCOCC-A単線を採用したOYAIDE製。単線の導体は振動の影響を受けやすいとか表皮効果に有効でないというデメリットがあるけれど、オヤイデのHPを見てみても単線ケーブルのレビューの欄には肯定的なコメントが多く投稿されている。碧のシースは傷がつきやすい素材だが、叩いた感触や切った時の感触は結構やわらか。中に振動吸収線は入ってるが金属系のシールドメッシュ等は省かれている。その分シースや絶縁体の音触に傾いてか、まろにゃかな音になっている。取り替えた当初は独特に聞こえるし分解能が低く曇って聞こえるけど(でもTARA lab.のPrism8よりは高解像度)、耳が慣れるといい感じである。ヴィンテージオーディオのようにナローでメローで優しい聞こえ方をするが、ヴィンテージオーディオとはひと味違うシルキーで綿飴のような今風のトーン。ハイスルーレートなシステムがよく醸している刺激的な成分に無縁なスローな鳴り口で、ポンコツラーメンのようにまゐるどだった。
シールドが省かれているのは、コスト制約のほか、この雑誌のP.16とP.18にケーブルの被覆をはがす実験や錫メッキ線のシールドの効果を検証する実験で好感度の高い結果が得られているから。金属系シールドは導体に悪影響を与えるが、それがない分変な音がしてない。ジオメトリー的な悪影響がない分開放的で心地のよい鳴り口をしている。オヤイデ電機のACROSS750は同軸で配された銅メッシュシールドを空間を配した絶縁体でホット側の導体から引き離している。それは微弱振動対策のものであるがスゴく合理的な構造。しかしこのStereo & Oyaideのケーブルほどはそれから解放された音をしていない。金属シールドの無いオーディオケーブルは自分は所有してないから新しい種の音を堪能できた(その音はスピーカーケーブルで自作すれば楽しめる)。


REAN NYS-352 リアンのピンプラグ。ピンジャックとの相性問題が極小。

{補足} ふろく付属のケーブルは1m×2本入り。50cm×2本に切って作り直したら、その軟質な音の芯が若干太くなった。
ピンプラグに使用したのはREAN NYS-352。ピンプラグはオスとメスでたまに相性問題が出るけど、このREANのプラグにはそれがほぼ皆無。銅製のジャックともうまくハマる。他のプラグだと硬くてハマらない端子やユルユルですっぽり抜けてしまう端子でもうまくしっくりとハマる。コレットチャック式並みの端子適応力。これは手持ちの10種類以上のピンプラグの中で最高格。安いプラグだけど見た目安っぽくないし作りやすいしプラグの選択で悩みたくないならこれがいいです。1ヶ¥150程度
REAN NYS-352ははんだづけするタイプ。ふろくのネジ圧着式のピンプラグと何度か音質比較してみたところ、少しクセが出るかな、とは感じた。分解能もほんの僅かに落ちるかもしれない。ソルダーレス(はんだ不使用)の圧着式プラグはすっきりと澄んでいる。でも固有共振音の優れたはんだも世の中には存在するものなのでまぁ好みや使い方次第か。









天然の綿
紙面ではいろいろな実験をなされていた。その中でも真似をしたいと思ったのがプラグの中に綿を詰めてしまうというもの。綿には音響効果のメリットが多くこの雑誌によると「拍手の音が今までになくぶわっと広がる」「肉厚で優しい音」とのこと。自分も実際に綿を詰めたバージョンと詰めてないバージョンを作って比較検証してみたけど、本当にその通りに音が変わる。ぶゎっと豊かに膨らむ。VIABLUEの真面目な音には生き生きとした生命感が宿る。HUBER+SUHNER[URL]では一点に集約していた音像がほどよくほどけて楽音の実体は春のシロツメクサの敷地のようになった。〔僅かに土が見える隙間がある〕などのデメリットはあるが、もう後戻りはできない。手間はかかるけど持ってるケーブルすべてに綿を詰め込みたくなってそうした。もっとすごいことを思いついた[URL]。
オーディオマニアの間ではオーディオ誌は疑うことが通であるかのような風潮があるが、自分はオーディオ誌を信じる側の人間。たしかにこのStereo誌でも、RCAプラグを品評する際、ロジウムメッキと金メッキの音質の違いを素材の柔軟さによる密着度(金は原子同士がより密着しやすい)や電導率(ロジウムは電気抵抗率が高い)を無視して品評しているし、センター部の素材{真鍮や銅や青銅などの違い}を意図的に問題にされてない気がするので(その電位差の違いこそが音質面で圧倒的に大きな違いを生んでるはずなので)、メディアリテラシーはあるなと思ったけど(要は高級仕様の商品を売りたい)、書くか書かないかの選択に作為はあるにせよ、書かれていることは嘘ではない。そこから大人の洞察力を働かせて読めばよりよい結果が得られる。