Technics SB-M300 M2





形式 3ウェイ4スピーカーD.D.D.(デュアル・ダイナミック・ドライブ)型
使用スピーカー 18cm パッシブラジエーター x2
14cm ドライブスピーカーユニット x2
14cm コーン型ミッドレンジ
2.5cm ピュア・マイカドーム型ツイーター
再生周波数帯域 40Hz〜70kHz (-16dB)
クロスオーバー周波数 160Hz、2.5kHz
出力音圧レベル 85dB/W/m
外形寸法 幅 214 x 高さ 386 x 奥行 335mm (ネット付)
質量 10.0kg (1本)



 ビックカメラに行った。今やメタルコーン全盛で、瑞々しくヴィジュアル的なサウンドのスピーカーが多い。ヴォーカルが目の前で歌うのは当たり前。そんな中にこのスピーカーが置いてあると、えらく冴えない心地がする。展示品の最後の一台が半値で売られていた。地味で目立つところがなく、パッと聴いた感じ、何も出てこない心地がする。
 試聴したときには「まぁ売れ残る音だな」と思っていたものの、でも…家に帰るとSB-M300Uが一番よかった…と思えてくる。ビックカメラに置き去りにされてるテクニクス。恋のはじまりでしょうか。




商品の特長
・3ウェイ4スピーカー・2パッシブラジエーターのD.D.D.方式
25cmウーハーに相当する振動板面積と、コンピューター・シミュレーションによる巧みな設計によって、正確な低域再生と優れた音像定位を実現した独自のD.D.D.(デュアル・ダイナミック・ドライブ)方式。SB−M300M2では、コンパクトなブックシェルフキャビネットに14cmドライブスピーカーユニットと18cm角型パッシブラジエーターをそれぞれ2個配置。ピュアマイカ・ドーム型ツイーターの採用とあいまって、新フォーマットにも対応する40Hz〜70kHz(-16dB)という広帯域再生を実現しています。

・ボーカルの表現力を飛躍的に向上したミッドレンジ。
厳選されたマイカを重量比で40%添加したマイカ・コンポジット・インジェクテッド・コーン振動板を採用。ボーカル帯域の透明感や細かなニュアンスの再現力を一段と向上しています。またダンパーにはダイナミック・リニア・サスぺンションを採用して、低域でのリニアリティを改善しています。

・ピュアマイカ振動板採用のドーム型ツイーター。
独自のピュア・マイカ振動板に、新イコライザー形状の設計など徹底した見直しを加え、高域再生のレスポンスを70kHz(-16dB)まで確保しています。

・不要振動による相互干渉の発生を抑えるセパレートキャビネット。
中高域ユニットを取り付けたバッフル板には30mm厚MDFを使用し、剛性を確保するとともに、植毛を施して不要な共振音の発生を抑えています。
極太コード及び4mmプラグも接続可能なバイワイヤリング対応金メッキ入力端子
空洞共振や反射による付帯音を低減する凸型ピンタイプネットキャッチ。
ブラウン管の映像に悪影響を及ぼさない防磁設計。


 もう一度聴きに行った。現代的なスピーカーに比較すると、聞こえなくなる音がけっこう多くてヴォーカルも痩せ細っていると思える。
 でもやはりいい音かもしれない。モニターオーディオのNEW BRONZEやKLIPSCHの鳴りっぷりのいいスピーカーなんかは出てきたまんま、よく鳴ってくれると思う。しかしダイアトーン、オンキョー、テクニクス etc.このへんの往年のスピーカーは使ってみなければわからない、、そう思い始める。そしてSB-M300M2にはもっと潜在能力が秘められているような節がたしかにある。目立つ成分が少なくて、パッと聴いた感じ何も出てこないけれど、管弦楽なんかはマイカ混入の振動板の独特の芳情が感じられる。
 次行ったときに決めよう。あの地味すぎる音は、あの価格でも売れてないことだろう。VictorのSX-500DEやNEW BRONZEやENTRY Mの中に埋没していては、誰もあのスピーカーを買おうとは思うまい。そうあぐらをかいていたけれど、二週間も経つころにはさすがに焦り出してきた・・・

 「急がなくてはならないけれど、間に合っている。」

 わかっている。売れるはずもないスピーカーに対して、僕はなにを焦ってるか。











 次にビッグカメラに行ったときは雨だった。雨の日のオーケストラはなにかうれしい。雨にも濡れずにオーケストラを聴けることに対してうきうき感がある。でも外では雨が降っているということに得したような気分になるのはなぜか、考えてみた。――小学校のころ、晴れた日にドラクエしていると、いざ野球をやりたがる時に雨になったりした。そんなとき、「この前野球すればよかった」と思うのだった。だからだろうか。外が晴れていたら損した気分になるのだ。とはいえ、雨の日のビッグカメラは、とくにそういうわけでもない。 …。





DENONのDCD-SA1とPMA-SA11とB&Wの看板の裏にあるセレクターは私物化

 思惑の通り、売れてなかった。安心した。もう一度比較してみた。B&Wのように直截的でない。出てくるものには推敲がある。ヴォーカルはBRONZEのようには訴えてこないけど、テクニクスの中にいる人は虚飾なく地味な服を着てるはず。
 様々な発見をさせてくれるスピーカーだと思う。聞こえにくい音はよく聞こえていて、ヴォーカルは痩せているのに埋没していなかった。惹き寄せるものは何もないようで惹き寄せている。音圧は低いが三階席のような、咆哮を織り成してこちらまで届く感覚がある。
 解像度も低い。VictorのSX-500DE ETERNOはあたたかなトーンの中に凜とした熟酥味がある。表面積が広いからオーケストラがこちらにヴァっと開ける。一方テクニクスSB-M300の管弦楽は深くてわかりにくい。オンキョーのやつは一万でもちゃんとわかりやすい音をだす。最近のスピーカーはどれも垢抜けきっている風に思えてきてオタクの男の子の方が可愛く思える心境。VictorのSX-WD5も日本的なサウンドだけど明るい。テクニクスSB-M300のピアノは冥くはあるが真面目なトーンで、ヤマハのピアノ教室に通っているような音なのである。





 低域はえらく節度がある。D.D.D.方式というもので、すごい出そうだが、出てこない。本質的には量感あり、そこにはあるのだけれど、ないような音がする。SB-M300のウーファーは前後に2つ、不要振動がお互いによってキャンセリングされる。空気を介在した低音のみがパッシブラジエーターによって外界に伝えられる。教育者が教え子に与える言葉のようによく撰ばれていて、気遣い(←キチガイではないですよ)や広大な知識など、背景にあるものを感じる。
 複雑な構造をしているということは音を通してもわかる。コンピューター解析によるもののようで、複雑怪奇な曲折を介して伝わってくるのはわかる。人間の耳はとても精度が高い。方角のみならず中身の構造まで見えてくる。このスピーカーの音は考えれば考えるほどに面白い。この低音をもっと本格的に味わいたい。どうせならトールボーイにしたい。
 SB-M1000がいいかな。…。結局SB-M300M2は、通産4時間近くも独り占め状態で比較試聴し、このスピーカーに倣って熟考に熟考を重ねたうえ、買わなかったのでした。



薄情な恋に終わったから、後悔もあるのです。
つづき