marantz PM-95


marantz PM-95 '88年製
PM-95
¥319,000 (1988)



初め聴いたとき、マランツマランツマらんつまらんと自動的に口ずさんでいた。現行のPM-11S1等のニュープレミアムのマランツのような、透明の中からのきらめきやスゥイート感、官能的なフィーリングはない。
でも聴いているとすぐ耳は慣れてしまい(良かれ悪しかれどんな装置でも)、PM-95の地味さ加減に慣れるとやがて印象は変化してきて、あまりはっきりとは主張しない楽音の中に、ふくよかな落ち着きようがあるように思えてきた。波形が心地よいことに気づいていった。多分歪みとかが少ない。上品な何かに包まれている。減衰のしかたがきれい。Dレンジ的な性能?がよい。ボリュームを絞っても中音量の鳴り方が比較的保たれているし、音量を適切なところまで上げればもっとふわっと自然。

PM-95('88年 C.O.T.Y.)はPM-99SE('91)を経てPM-15('93年 C.O.T.Y.)へと進化する。PM-15は怪物のような物量が投入されている。トーンはシルクタッチで、'ようこそマランツの世界へ'というハイエンドな雰囲気がある。PM-95はまだ原初の段階でまだファジィなところがある。慣性任せに放たれた自然感。重量があるから多分心臓部がしっかりしている。解像されるものの内側からじわりと意味がにじみ出てくる感覚がある。

「まごころとは、よくもあしくも生まれたるままの心をいう」…ほのほのと浸透してくる森の気のやうな、ふるきよき時代の音楽の面影。骨格的構えの滅されたところに白い優しさ。その感触はまるで プ リ ン タ ー の マ ス タ ー 紙 。言葉や概念を取り払へば素顔が見へてくる。様々な文字は印刷されてもそこにあるのはマスター紙なのです.. .。


完。





それとこのアンプはPHILIPSのD/Aコンバーターが内蔵されている。PHILIPSなんて貴重。SONYと共同でCDを開発したメーカーだが、PHILIPSは今は中華企業に買収?された。90年代はmarantzにCDプレイヤーの技術が受け継がれた歴史がある。
DAT用にもOptical/Coaxial端子があって入力&出力ができる。2種類たのしめる。プロセッサー入出力端子もデジタルとアナログ両方に用意されている。最近は見かけなくなったけどサウンドイコライザー等を介在さすことができる。というか端子類がAVアンプ並に多いでございまする。(写真に残すの忘れてた)(Google)。
ClassA/ABの切り替えスイッチは前面ではなく背面の端子の上にある。音質的差異はほとんどなかった。ふつうに消費電力の少ないClass ABを選びたくなる。PM-15からClassA/ABの切り替え機能はなくなって、菅野さんは「これでいいと思う」と書いていた。おもしろくないじゃーんと思ったけどそれでよかった。

Rec:ヴォーン・ウイリアムスのSerenade to Music → \(SPEAKERはアポジー)ノ゛
この録音はデジカメのマイク録音だけど(今は無きミノルタの)、PM-95の特性はよく出ている。伝わるかな。こんな退屈な音だけど、それがいいんです。








我々がとくに注目したのはこの地平線!!