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プラトン 『饗宴』
4 名前:名前欄空白 2009/06/23 23:18
『他面、もっとも古いこの神は、またわれわれにとって最大福祉の源泉でもある。実際私は、早くも少年に当って立派な愛者(エラステース)を持つこと、また愛者にとっては愛する少年(パイディカ)を持つこと以上に大なる好事が在るとは主張し得ぬほどである。というのは、いやしくも美しく生きんと欲するすべての人にとって、その全生涯の指針となるべきもの、それは愛(エロス)ほどあんなに見事にその魂に植えつけることは、血縁にも、栄誉にも、富貴にもその他の何ものにもできないからである。ところがこの場合私の意味するものはいったい何であるか。それは恥ずべきことに対しては羞恥であり、称揚すべきものに対しては名誉慾である。なぜなら、これらを欠けば、都市も、個人も、偉大な、秀美な事業を成就することはできぬからである。したがって私は主張する。恋する男は、恥ずべき行いをするところとか、または誰かから侮辱を受けながら、怯懦の故にこれに反撥せぬこととかが暴露したとき、父親に見られるにしても、友人もしくは他の誰かに見られるにしても、愛する少年に見られたほどそれほどたまらなくは感じないだろう、と。またちょうど同じことが愛人においても見受けられる。すなわち何か恥ずべき事をしているところを見つけられるとき、彼が特に甚だしく恥じるのは愛者に対してである。今かりに何等かの方途によってただ愛者とその愛する少年とのみから成る都市または軍隊が出現したとする、そのとき彼があらゆる陋劣から遠ざかりかつ互いに名誉を競うこと以上に自分の都市を立派に統治する途はあり得ないであろう。またもしこのような人達が相携えて戦ったとしたら、たといその数はいかに少なくとも、必勝を期し得よう、――全世界を敵としても、と私はいいたい。実際愛者なる男にとっては、その持場を離れたり、または武器を投げ出したりするところを愛する少年に見られることは、疑いもなく他の何人に見られるよりも遙かに堪え難いことであろう。また彼はそれよりもむしろ幾度でも死ぬことを願うであろう。ましては愛する少年を見捨てて逃れたり、あるいはその危地に陥るのを見てこれを救い出そうともしなかったりするほど――エロス自らの与える霊感によって勇気づけられ、その結果生来の最勇者にも比肩し得るようにならぬほど、それほどの臆病者は、一人も無いのである。それで疑いもなく、ホメロスが、神はある半神(ヘーロース)たちに「勇気を吹き込んだ」と語っているところのもの、それこそエロスが彼に賜物として愛者達に与えるものなのである。

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