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♂ 人間学的なこと ♀(ヒット数:2)
152 名前:名前欄空 :: 2009/04/29 12:59

>案内人の話によると彼等の宗教では、種々様々な責苦の地獄についての説教が行われるそうである。あらゆるタイプの人毎に夫々違った地獄があるらしい。患者を殺した医者には彼等独特の地獄があって、そこでは医者の方が何回も何回も切り刻まれては又その後で元通りに組み直されるという。死体の上に黒い線を引き、それに沿うて悪魔が赤熱した鋸を引いて行くのである。出しゃ張り屋用の地獄も又あって、舌が附根から先まで幾つかに引き裂かれてから焼き串を通される。愚痴をこぼす者は咽喉に融けた鉛を流し込まれる。
>地獄には氷山のある処もあって、亡者が割れ目の中に投げ込まれ、大きな氷壁が迫って粉々に押し潰される。
>「説教の中でそんな話を全部聞かされたのでは、可哀そうにチベット人達がおびえるもの無理はない。しかしあんたはまさかそんなことを信じはしないでしょうね。」と聞くと、
>「まあね。」と半信半疑の様子で答えた。「しかし私たちは人々にそう教えるように云われているのです。」
>「イヤハヤ、あんた等はみんな偽善者だ。何故あんたは本当の事を人々に云わないのか。」と思わず私は大声を出してしまった。
>「そうすると私達は国中で何の権力もなくなります。」
>「それなら、あんた達用の地獄もあるはずだ。」と私が云うと彼はびっくりした様子だった。更に付け加えて私はこう云った、
>「僧院に御布施をしない連中向の地獄もチャンとあることになっているのでしょう。だからその人たちに恐怖からお布施をさせることができるわけだ。」
>「もちろんそうです。」
>「そんな事をしていると何時かはそれが逆火になってくるとは思わんかね。チベットは何時までも今のような孤立した国のままではいない。もちろん偉い学僧達はこんな馬鹿げた事を信じはしまい。」
>「はい、ラマ僧達、大学者方、治療師、預言者達、原子科学者達の間には神秘家達がおられて、その方々は原子については西洋の貴方がたよりよく知っています。貴方がガンデンに行けばそういう学者方にも会うでしょう。その方々が外部の世界について持っておられる知識には貴方も吃驚する筈です。」
>「私もその事は聞いたことがある。あんたも知っていると思うが、私はリンポッチェ大師の弟子でね。」

♂ 人間学的なこと ♀(ヒット数:2)
153 名前:名前欄空 :: 2009/04/29 13:16

>「はい、存じています。『リンポチェ』という名は、『尊きもの』という意味です。あのお方は大師の大師ですよ。」
>「何故あんたは大師に教えを乞わないのかね。」
>「まことに残念ですが、大師はもう今以上には弟子をお採りにならないのです。その代わりにスルドゥ先生の弟子になりたいと思っています。このお方の名は『英知の師』という意味です。ガンデン僧院の教授もしておられました。」
>「その方には私も近く会うことになっている。」と云って私はこう付け加えた。
>「それにしてもあんたは大衆に対する自分たちの説教が間違っている事を知っていながら、人々を迷信で縛りつける為に説教を続けているじゃないか。」
>「それはまあそうです。しかし貴方方だって西洋では同じ事をやっているじゃありませんか。あなた方のあのどっしりした建物を見て御覧なさい。沢山の貧しい人々を救える金を石や漆喰、勲章その他に散じているじゃありませんか。」それに対しては私はこう指摘した。
>「しかしあんた達は先ず大衆を教育することだ。お国の人々が風呂付の家を与えられたところだが、風呂場を石炭入れにしている人があるのを私は見ている。尤も西洋人だって生贄を信じているんだからね。これは形を変えた搾取ですわ。大した違いは無いよ。あんた達の方が少し残酷ではあるがね。それにしても結局は同じことだな。」
>私のこの柔軟戦法は効を奏したようだ。
>「ええ、残念ながらその通りです。たいていのチベット人はまだ迷信と恐怖の虜になっています。」
>「併し、そんなものも足早に崩れ去って行ってるね。」と私は答えた。その後吾々は誕生、死、生まれ変わりが終わることなく続くという生命の輪廻の問題にぶつかった。
>「それはヒンズー哲学なんだろう。」と私が云うと、彼は待ってましたと云わんばかりに、人間が何度も生まれ変わる過程と理由を滔々と話し出した。
>「あんたは国中を廻って人々にそれを説いているんだね。」
>この男にはまだ迷いについての知識も悟りも持っていないのが分かった。それに彼は少しあがっていた。それでその事については私はもうそれ以上は何も云わぬことにした。
>これでは、リンポチェ大師が彼を弟子にお取りにならぬ道理だ。
>彼は自分が初めてリンポチェ大師の処に行き、弟子入りを頼んだ経緯を私に話してくた。その話によると、リンポチェ大師は彼を河のところに連れて行き、跪かせた上で一旦河の水面に顔をつけさせると、矢庭に彼の頭を水中に押し沈め、彼が激しくもがいて起き上がろうとするまで押し続けたのである。ようやくのことで本人が顔を上げると、水中に漬かっていた間何が一番欲しかったかと聞くと、「息です。」と答えた。
>そこでリンポチェ大師は、
>「君が今息が欲しいと必死に思った程度に真理を切望するようになった時、わしの処に来るが良い。」と答えられた、という。

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