SONY WH-1000xm2





ソニーのWH-1000X M2. 野暮ったくないデザイン。前作MGR-1000Xはすでに完成度高かった。優等生的なサウンドで骨格を多く感じられた。エノコログサのような部分もあり、緑は緑だからよいのだけど、WH-1000xm2ではそれを刈られて身長の低い柔らかいシロツメクサで敷き詰められている具合に変化。・・・。
次のWH-1000xm3(2018年)は、魚の小骨が完全に取り除かれたような食感。総合的には進化しているけどWH-1000XM2にあった魅力も除かれている。ヴァイオリンの弦の骨格輪郭がふわっとしてマシュマロ状態。

Bluetooth接続で5年間使っているけれど、いまだうっとりとする。SENNHEISER HD800SやHD820を使っている人もこの持ち味を認められるんじゃないだろうか。方向性が違う。外出用としてはベストな気分がする。音量もうまく取れるし操作性も良いしWalkmanとの接続も早いし。



以下冗長な詳細・・・
SONY WH-1000XM2はほとんどの音楽ソースでたくさんの音が聞こえる。芳醇な音楽性を持ち味にするわりに、解像度(画素数) のみならず分解能もわりと高く(1画素1画素しっかり描写)、尚且つ分解されたものの「大小のバランス」がいい (忠実)。まさにそれはSONYの世界最高峰のバランス感覚。そして、分解能が高い故に空間感はあるけどその音色はしっとり。PanasonicのRP-HD600NやRP-HD10が蒸留水とするとWH-1000XM2はコロイド状態。コロイド状態なのに空間感があるので不思議なのである。ただ音楽聴くものがなくなってから聞く講演CDはPanasonic RP-HD600NやHD500Bが理想。人の声が自然。あとラルクなどはSONY WH-1000xm2やxm3だとPanasonicに比較すると籠って聞こえる。Panasonicだと高音まで突き抜ける。
解像度・分解能的にはDENONのAH-GC30が至高。昔のポケモンのYoutubeで取得したMP3音源も、DENON AH-GC30だと新しく聞こえる。だけど、そちらは管弦楽再生で空気が封入されていない。木琴はとても心地よいけどオーケストラは不足感が出てくる。ただこれは中音量までしか確認できず(操作がわからない)、音量が出せればまた印象が異なったろうか。
SONY WH-1000xm2の次のモデルWH-1000xm3は、よりディープな音。フォーレの『シシリエンヌ』のフルート&ピアノをWH-1000xm2と比較すると別物のようにマイルド。骨格はない。ハイエンド的な音色のよさはあるけどショスタコーヴィチに感動はできない。
SONY WH-1000xm4が現行だけど、xm4はxm3が籠った音に感じる人の場合は良いと思う。音楽性を損なっていないのに先進的な音がする。より損失が少ない。

ドビュッシー『夜想曲 -祭』(Grammophon 4D Abbado指揮 2003)の盛り上がる部分をWH-1000xm2で最大音量で鳴らしたとき、分解能が追随している。イヤホンだとここまで再現力のある機種がほぼほぼ見つからない。イヤホンは一般的には管弦楽が盛り上がってくると難しい。WH-1000XM2は管弦楽のピアニッシモの部分も、チューニングでふくよかにされている低音のお陰で痩せないでいる。弦に粘り気が感じられる。音量を上げても落としても高レベルの音で聴ける。ヴィラ=ロボスの『ブラジル風バッハ 第7番-第3楽章 Toccata』(NAXOS 8.573043。最高峰の音質) も空間感もあって楽音に艶がありそれでいてしっとり。ハイエンドの深みのある音が出ている。h.ear on 2 Wireless NC(WH-H900N)等のコスパのいいモデルの不足のない再現力に飽きて、ハイエンドの音を求めたくなったときのコスパが高い。さすが価格コムで常に上位。







WH-1000XM2


SONYは大企業だからラインナップを充実させてる。v-modaみたいにオンイヤー型とアラウンドイヤー型を1機種ずつ地道に作り続けるわけではない。個人的な印象としてはソニーはこのモデルを買うのが正解で、あとはヘッドホンなんかにお金を出さない人向けのよう。そう思ってしまった。オーディオマニアが廉価モデルと血迷ってWH-1000XM2を買わなかったら、いつかは買う羽目になる。このフィット感、Bluetoothやノイキャンの性能、操作性、音質。SONYのヘッドホンは歴史が厚く長い。装着感と音質はもう完成されている。

無線の音質・・・口コミ見てるとWH-1000XM2は無線接続時の音は高品質らしいけど、aptX HD / LDAC接続できるから高音質であるわけではないと思う。Bluetoothのコーデック等は広告規格。再生機自体の性能が音質に大きく寄与している。SONYのA40シリーズはaptX HD / LDAC接続できるけど比較するといまいちで、自分は2021年現在はPioneer XDP-100Rで使用中。KENWOODのMG-G608 (2011年発売) で聴くまでは「Bluetoothはコーデックが全て」だと思っていたのだけど、コーデックは相対的にそれほど大きな問題ではなかったのかもしれないと考え直した。

有線にした場合・・・BluetoothでもJBL EVEREST 300のように音質が落ちた感じはしないのでWH-1000XM2の無線は優秀なのだけど、解像度のみは変わってくる。WH-1000XM2のBluetooth接続時の音質はチューニングの賜物で、薄い低音にも機敏に反応するため、気持ちよく包まれるような感覚。細かいレベルの音の損失も少ないはず。有線だとそれはなくなる代わりに、たとえばウォークマンNW-A40(有線)で聴くと高音がすっきりと伸びる。輪郭がつやつやとしてくる。甲乙つけがたい。無線だとケーブルやプラグ(抵抗素子)を介在しないし、専用のアンプを設計できるので高音質になると思いきや、有線の方が音が一般的には良いと言われてる。でもディナウディオの無線スピーカー『Xeo』は異例の解放感があるので、10年後20年後、どうなってるかわからない。








ブラックへの熱い思いが消えず、結局スペアで購入してしまった。








昔のカセットテープのESシリーズを彷彿とさせるdesign。ちょっと撮影で太陽光の角度をミスって、コントラストが強く出てしまったが。